最高裁がGoogleの検索結果から前科の個人情報を削除してほしいとの訴えを棄却。プライバシー保護以上に公共の利害に関係すると判断。

最高裁が『名前(+居住地)』で検索すると『前科・逮捕歴』が表示されるのはプライバシー侵害だとしてGoogleの検索結果から削除を求めた原告の訴えを棄却した。EU圏の『忘れられる権利』には言及せず『逮捕歴は公共の利害に関係する』とし『プライバシー保護が優越する特別な理由』がなければ削除できないとした。

GoogleやYahoo!で名前で検索した場合に前科(犯罪の逮捕歴)の報道や批評が表示されると、本人のプライバシーが侵害されたり社会復帰・平穏な日常生活が妨げられるとして削除を求める訴訟は相次いでいるが、最高裁が見解を示したのは初めてだ。単純なプライバシー保護では原則、検索結果は削除できないとした。

最高裁はネット上の名前や居住地による『本人にとってプライバシー侵害や信用喪失など不都合の多い検索結果』を削除できる判断基準について、『情報の内容・犯罪被害の程度・社会的地位(公人性)』などを考慮すべきとした。原告が削除を求めた罪状は児童買春で、殺人・強盗・強姦など重犯罪の前科はまず削除は認められない。

そもそも論では、ウェブ上の検索結果を削除し続けることが(重大犯罪は特に一度削除しても再び誰かが名前を上げ過去の犯罪に言及する可能性を排除できない)技術的・現実的に困難だろう。最高裁は『今、更生して妻子と暮らし真面目に働いていてもプライバシー保護は公共の利害に優越しない』とした。削除のハードルは高い。

児童買春も18歳未満の未成年だけを対象とした常習的なものか、年齢を知らずに一度だけ買春してしまったのかによっても全く犯罪の悪質性・本人の人格や性嗜好の偏りは変わってくるが、仮に一度だけの児童買春の逮捕歴が長期にわたり残り続ける(仕事・生活・人間関係の支障が大きい)なら本人・家族にとっては酷とは思う。

スポンサーリンク




楽天AD