代理出産の法律・倫理の問題点とプライスレスな市場に乗らないもの

母子関係の認定が『分娩』か『遺伝子』かは法律のテクニカルな問題だが、代理母には『契約履行を妨げる感情の絡むトラブル』『代理母死亡・障害児出産のリスクと事後対応』『貧困ビジネス化』の問題はある。

意見分かれる「代理出産」問題 どんな議論があるのか

先端生殖医療の進歩が従来の妊娠・出産や母子関係の意味合いを部分的に変更する可能性はあるが、『他人の子宮の商品化』に対する倫理的反発は『金銭・科学万能主義』への反発につながる。金銭と身体・性との直接交換の禁忌(市場に乗らないもの)は、倫理の核であると同時に『聖性・特別さの付与』だが。

『お金で買えないもの(市場に乗らないもの)=プライスレス』は人間の倫理や家族、エロスを支えるが、買えないのは『心理的納得の壁(金と交換だと相手の心がない感じ)・技術上の制約』がある為。代理母に関しては『産まずに育てる親』に子への愛情がないとは言えず例外的で、愛・性と生殖の金銭交換禁忌は異なる面もある。

金銭は多くの人が求めるものだが『数量的・匿名的・非属人的』である為、『特定の対象への固着』がなくだからこそ誰の間でもスムーズな交換機能を持つ。だが金銭と交換可能という事は『自分でなくても良いの不信感』も意味し人は自分をその交換可能性の枠外に置いてくれる他者・行為を求めそれに聖性・倫理要因を付与した。