残業220時間で固定残業代わずか7万円のしゃぶしゃぶ店を提訴:明らかな労働基準法違反

飲食は人件費節約で、店長格を『営業時間の全時間帯(ワンマン・前準備・後片付け・精算含む)』にわたり配置する悪慣習もあったが、超長時間労働は過去に何度も死者(自殺・過労死)を出している。

「残業220時間で7万円は不当」しゃぶしゃぶ店を提訴

非ブラック企業に転換した飲食事業者は、バイトの中から信頼できる責任者を育成するなどして、複数人の管理体制を構築することで、正社員・店長格の実労働時間を法定労働時間である『8時間+α』の範疇に抑えている。チェーンでは朝6時~深夜2時のような営業時間も多いがその全時間帯に出勤する人員を出してはいけない。

営業時間が24時間に近いような店舗では、店長や店長同等の仕事内容をこなせる人員を複数名育成し配置しておくことが必要であり、特別に高度な経験・スキルが必要なわけではないから、バイトの中からシフト管理(対人調整)ができて責任感の強い人材を選び、時給割増の対応で配置しておくべきだろう。

記事のしゃぶしゃぶ店の『残業220時間』は、本人が同意していても労働基準法35条に違反している。36条(36協定・割増賃金)によっても、ここまでの長時間労働を従業員に課すことは合法化できない。H10年に労働省は『時間外労働の限度基準』として、1ヶ月45時間、特別条項でも80時間の指針を出している。

法定労働時間である8時間で25日出勤しても、200時間の労働時間にしかならないことから、通常の法定労働時間の2倍以上の勤務をさせられたことになる。30~31日休みなしですべて出勤しても、1日当たりの残業時間は7時間以上であり、疲弊で心身の健康を害したり過労死のリスクを伴う危険水準である。

しかし、労働時間や休日に関する労基法の規制に違反しても、それだけで他の刑法上の責任を問われなければ、『6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金』だから、ブラック企業としては法的リスクを勘案しても従業員をギリギリまで酷使したほうが利益になると判断しやすい。労基法違反の量刑をある程度重くする必要もある。

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