中国のネット規制強化(ネット上の発言の実名義務化・反政府の言論規制)についての雑感

中国のような異論・不満・格差を武力で押さえ『表面的秩序』を保つ一党独裁国家は、『人民の本音のやり取りで浮かぶ政権批判・連帯』が一番怖いので、ネットの匿名での本音を規制したいと思うだろう。

ネット実名義務化・「扇動」は厳禁 中国が新法を採択

自由民主主義が浸透している先進国では、『ネットのトレーサビリティ強化(違法行為があれば発信者を特定して検挙する・プロバイダでの固有番号割り当て等)』は有り得ても、『実名での書き込みしかできなくする規制(権力と世間、対人関係の監視を前面に出して本音を封殺して発言量を減らす)』はまず有り得ない。

暴言や中傷、サイバー犯罪があるから自分は実名制でもいいという『主観的な規制強化の容認』の意見はあるが、ネット上の発言は『誰かに向けての感情的・攻撃的な発言』だけがメインなわけではなく、『特定のテーマ・事象・問題・コンテンツに言及する意見の自由度・多様性』こそメインであることを忘れてはならない。

実名のみの発言しか許されないネット規制環境下では、『違法性・暴力性』より『人間関係・職業』による萎縮・遠慮が生じやすい弊害が大きい。現実として『実名発言する有名人・文化人による問題発言や喧嘩腰』も多発していることから実名だから礼儀正しいわけではなく、本人の気質性格や姿勢、人との接し方で印象は変わる。

名誉毀損や侮辱は匿名で為されるケースもあるが、自殺・殺傷など致命的になり得る暴言や中傷、悪口は、現実には『匿名の知らない人からの暴言のダメージ』は少ない。いるとすれば『犯罪事件を起こした人・自分から犯罪やマナー違反を武勇伝のように投稿した人・極端に汚い言葉遣いで過激な書き込みへの反発』くらいだろう。

そもそも論では、中国・北朝鮮のような普通選挙・政権交代・人民の平等な発言権のない国家におけるネット規制(実名発言の強制)という政治的統制を、先進国のセンシティブな人の『ネット規制論(匿名からの暴言・中傷・噂話が嫌)』と同列で考える事は極めて危うい。違法行為に該当する発言・人物は訴訟対応すべきである。

スポンサーリンク