Amazonの『オールタイムベスト小説100』について

Amazonの普段の『総合売上ランキング』は、大型書店で平積みされている本とコミックばかりが並んでいて、読書家にとっては殆ど使い物にならないのだが、Amazonが13年間のビッグデータを駆使して選んだ『オールタイムベスト小説100』は、“読みたい小説で外れではない作品”を探している人には役立つかもしれない。

昔は小説が好きで絶えず読んでいたが、近年は新書や専門書といった『知識・情報を得るための読書』を優先しているためもあって、1ヶ月に2~3冊読むか読まないかのペースとなり、比較的新しい作家の作品については全く読めていない。

流行作家では、伊坂幸太郎や東野圭吾くらいの時代で止まっている感じもあるが、何らかの不可思議な事件や謎を解いていくタイプの広義のミステリーと実際の歴史上の人物や出来事に題材を取った歴史小説がやはり好きである。最近は、登山や自然の猛威を題材にした新田次郎の『山岳小説』も好きで過半の作品は読んでしまったのだが、個人的には登山家の加藤文太郎をモチーフにした『孤高の人』の人物描写や人生観に共感させられるものもある。

村上春樹とか宮城谷正光とかハインラインとか夏目漱石とか京極夏彦とか松岡圭祐(万能鑑定Qシリーズ)とかも好きなので、ジャンルや時代にはこだわりがないといえばこだわりがないし、司馬遼太郎や松本清張のように『小説家+歴史・政治の批評家』のような感じの作家の本も好きで結構読んでいる。

ノンフィクション系の立花隆の『天皇と東大 全4巻』『巨悪VS言論』とかも好きで何度か繰り返し読んだが、これは近現代の日本の思想・世論・政治・戦争を総合的に読み解くためのキーとなる情報と人物(思想家)が列挙・詳述されており、勉強するような読書が好きな人にはお勧めできる。

記事に掲載されている作家では、浅田次郎や小川洋子、重松清、伊坂幸太郎あたりは結構な数の作品を読んでいるが、浅田次郎は近代日本の中国大陸における帝国主義の歴史を題材にした歴史小説『マンチュリアン・レポート』『蒼穹の昴シリーズ』『中原の虹シリーズ』がかなり読み応えがあって歴史好きには面白いと思う。