決算月である5月の株価下落(材料出尽くし)の傾向とシャープの巨額赤字の要因

株式市場の5月は決算の魔境。シャープのように本業悪化で死に体に陥る企業もあるが、カシオやセブン&アイのような史上最高益の好決算でも材料出尽くし(来期懸念)でじりじり下がる。外食企業は強い、プレナス・すかいらーく・吉野家・ロイヤル等は逆に上昇、吉野家は値上げ不安があったが野菜入り牛丼で巻き返しそう……。

テクニカル投資のチャートでは、長期で見ても4?6月は決算(材料出尽くし)による調整期間で大きく株価が下がるリスクが高い時期に当たるが、インデックスでは秋口に入った頃くらいに上がりやすい。ただ金融緩和と公的資金投入の官製相場が終わったり、外国人旅行客のインバウンド消費が落ち込み、国内消費力低迷が顕著になると暴落を懸念してしまう。

日本国内の一般労働者の平均賃金は低下傾向にあり、統計的操作やサンプル調整で『株式相場の好調と連動する個人の所得上昇』の見せかけはできるが、実際はそれほど可処分所得が増え続けている層は少ないはず。2016年まで乗り切っても、17年の消費税増税は日本経済にとってかなりの鬼門、ギリシア問題を発端としたEU経済分裂の危機も大きいと感じる。

2200億円以上の赤字を出したシャープの経営失敗は、『液晶ディスプレイの省エネ・解像度・耐久性の技術力』では世界最高水準でも、合同企業のジャパンディスプレイや海外の低コストな液晶とのダンピング競争に敗れる厳しさの事例となった。IGZO等のシャープの技術力は他社より高く需要はある。公的支援なしなら二束三文でJDが買う可能性も高そうだし、シャープの大所帯が分社化されて売却の流れが生まれるのかも。

シャープを公的支援で助けるという選択肢は、他の資本主義国ではありえないが日本なら十分に有り得るが、シャープの赤字体質は『グローバル市場の競争環境への不適応』という構造要因にあり、この完全な克服は液晶以外の強力な事業を切ってきたシャープには難しいかもしれない。選択と集中のギャンブル的側面が裏目に出た。

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