「自然・環境」カテゴリーアーカイブ

栃木・那須のスキー場での雪崩死亡事故とリスク管理の甘さ:雪山登山やアウトドアに一定のリスクはあるが

自分だけの登山・訓練ならまだしも、教え子の命を預かる状況では軽率な判断である。悪天候で茶臼岳の往復登山の実技講習を中止はしたが、何もせずに帰る事を忌避する登山者の傾向が事故を招いたか。

<那須雪崩>歩行訓練開始判断が焦点 県高体連詳細把握せず

遠征登山で遭難事故を起こす原因の一つに『せっかく時間・お金をかけて現地まで来たのに何もできず手ぶらで帰るのは嫌(天気は悪そうだがギリギリ大丈夫)』という物惜しみもある。冬山は特に気象条件が悪ければ撤退が原則だが、『登山で斜面を登らず、麓付近の樹林帯でラッセル訓練なら何とかいける』の見通しが甘かった。

新聞記事の詳細な時系列では、前日午前に既に翌日の『大雪・なだれ注意報』が出ていた。午前2時には積雪2センチで降ってないが、午前6時には積雪24センチ、一晩で大量の雪が降った。わずかな温度上昇で表層雪崩が起こりやすい、上に柔らかい雪が積んだ状況になっていた。スキー場の麓近くでも雪崩は来る。

自然の冬山は危険だが、人工的に圧雪管理されたスキー場なら比較的安全という意識は根強いが、この登山講習が行われた時にはスキー場はシーズンオフで、雪面のチェック・管理の作業は行われていなかっただろう。3月の気温変化と一晩での大雪、当日の吹雪、斜面下のラッセルの条件から、スキー場に出る事も危なかった。

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動物園の人気者の動物が減少、新たな希少動物の輸入は難しく:ワシントン条約と野生動物(絶滅危惧種)・生物多様性の保護と人間

野生動植物の輸出入を禁ずるワシントン条約が決定打となり、珍しい動物を見たいニーズを優先して運営できた時代は終わった。動物園・水族館は『施設・自国に今いない動物種』の再輸入は困難である。

動物園の人気者が急減中 輸入厳しく「種の保存」必要に

中国のパンダ外交のように、野生動物が生息する主権国が輸出販売ではなく友好・好意・政治的意図から譲渡・貸与する方法は残るが、パンダ・ゾウ・キリン・コアラ・ホッキョクグマ・ラッコなどの希少動物を現時点から日本国内で大幅に個体数を増加させることは著しく困難か不可能で、また現代での動物園需要も大きくない。

施設内の交配促進によって、『希少動物の種の保存・個体数の維持増加』を図ることも動物園・水族館の目的であるが、自然環境下より妊娠率が低くなったり(交配自体行わない雌雄も多く)赤ちゃんの育児放棄のリスクもある。野生動物が棲息するアフリカやアジアでも乱獲・開発によって大型の希少動物は個体数を減らしている。

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人体の冷凍保存に1000万以上のお金をかける人たち:不老不死の夢は方法や目的を変えて続くのか

実際に脳機能(自意識)を維持して蘇生できる可能性の低い人体冷凍保存(クライオニクス)に1000万以上のお金を支払う人もいる事を考えると、『不老不死の夢』は科学技術依存の形で古代王のミイラ・巨大陵墓から続いているのだろう。

頭部940万円、全身1760万円 人体冷凍保存で未来蘇生目指す

人間は死ぬからこそ価値があるのだというのは、『変更不可能な現実』から運命として帰納され納得されたものだから(どっちにしても最後は死ぬ以外の選択がなく選べる立場にない)、『技術的に不老不死(健康な超長寿)が可能な新たな現実』が生まれれば、人間は終わりがあるから尊いという『現時点における標準倫理』が急変する事は有り得る。

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人類滅亡の可能性と宇宙・地球の真理に対する人の想像力:本当のところは知りようもない

生命の進化史や恒星の寿命から人類滅亡はいつか起こるが、人の知性は地震・竜巻どころか経済・金融さえ長期予測はできない。『種の寿命』より『個の命』は短く脆い、人類の運命も地球史も誰も確認できないという冷厳な現実がそこにある。

「人類滅亡」は実際に起こる?1割以上が「人類は滅ぶ」

超長期的なスパンで人類や自然や地球の行く末や来し方を、知的な現代人は様々な資料・理論を元にシミュレーションし想像する。地球史は約46億年、人類史は約400万年とか『神の目線・無限の時間軸』で見てきたかのように語れる。だが文字文化で証される知性の歴史は精々3000年…石器時代の人の意識も闇の中なのだ。

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ブラックホールが高温ガスで星の形成を阻害する:壮大な宇宙の謎

約3億光年の到達不能な距離にある神秘、新星を阻害するガス=宇宙ジェットの機構も不明だ。重力崩壊する超巨大恒星の重力がブラックホールを生むが、質量・エネルギーが時空を終わらせる謎は壮大過ぎる。

<ブラックホール>星づくりの邪魔 ガスの「風」で高温に (毎日新聞 – 05月26日 05:01)

自転・公転する地球と太陽のような相対的な位置づけによる時間定義のない宇宙では、時間の意味も曖昧だ。宇宙に始まりと終わりがある説もあれば、無数の宇宙が泡のように並存し続ける説、膨張・収縮で永遠循環する説もある。ブラックホールは永遠に質量が増大するというが、ホーキングは対消滅で蒸発する可能性を示した。

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熊本地震で続く車中泊:政府が健康リスクを軽減するための車中泊避難の指針策定を検討

現代人は殆ど他人と長期間の集団生活(共同生活)を経験したことがなく、男女同室でしきりが弱い為の性被害なども報告されているから、プライバシー・安全確保の為に車中泊を選びたい気持ちは理解できるが。

<熊本地震>「車中泊避難」で指針 政府が策定検討

循環器・血管血液が正常な可能性が高い若い人なら、車中泊の健康リスクは低くなると思うが、高齢者は身体を伸ばして寝られる避難所に移ったほうが良いだろう。どうしても車中泊をしたい人は、車外でテント泊できるような環境を整えるべき。複数人で寝られる大きさのテントの寄付もされているが数が足りていない。

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