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長時間の仕事をして家に帰って寝るだけの何が楽しいのか?:その質問は大多数の人にとって現実に選択可能な問いではない

楽しくなくても働くしかないのが大多数の人の現実ではある。『衣食住の欠乏や社会的孤立の不安・標準的な人生設計や自他比較』の方が人を動かす力が大きいというだけの話。長時間労働のサラリーマンをするなら、仕事や学習そのものに遣り甲斐を見出せないと厳しい。

絶望だ!「仕事して寝に帰るだけの生活」って何が楽しいんですか?

そもそも楽しみや面白さだけのために生きられる人はよほど幸運な人か数億円以上を持つ資産家でもない限りいないが、現代社会では幼少期から大学生時代までが『擬似貴族的な楽しいことが多い生活環境・交遊関係』になりやすいため、『一日の大部分を拘束される自由度減の会社員生活』との大きな落差に不適応を起こしやすい。

現代人にとって『時間』は『貨幣(お金)』と並ぶ希少資源だが、時間資源ばかり優先すれば無職・無収入で『お金のない苦痛・惨めさ』を味わいやすく、金銭資源ばかり優先すればワーカホリック・仕事して寝るだけの生活リズム、健康を壊す過労で『時間不足の苦痛・長期雇用の拘束感・健康悪化』に苦しむで一長一短はある。

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石郷岡病院事件と精神疾患患者の治療方針・入院治療の処遇:原精神疾患の重症度や暴力性にもよるが多剤処方の副作用は恐ろしい

30代精神病患者が職員の暴行で頚椎損傷して死亡した石郷岡病院事件はニュースで知っていたが、当事者のブログを目にする機会があったので考えたことをメモしておく。具体的内容を見ると精神病院の誤診・多剤処方の犠牲者である可能性を疑いたくなるような状況や処置が多い。入院5か月で17種類も処方されているが、精神病か否かさえはっきりせず(初期の診断名と異なってくるなど)診断にも曖昧さが残っている。

http://gunter75.blog.fc2.com/blog-entry-132.html

この被害者の運命の岐路は、大学生時に『気分が落ち込む』というだけで、中堅規模の薬物療法中心の病院を受診したことだった。明確な精神疾患の鑑定診断や危機的な精神状態にあるわけでもないのに、抗精神病薬(メジャートランキライザー)を処方されて、筋肉が不随意に動くジストニアの副作用がでて短期で薬漬けになった。

睡眠導入剤や抗不安薬(精神安定剤)までは、不可逆的な脳神経系の機能障害にまでは至らないが、統合失調症治療薬とされる抗精神病薬は一般に副作用が強く、多剤処方・長期連用によって本当の精神病患者であっても薬の副作用と元の症状の区別は困難になる。自傷他害でよほど追い詰められていない限り安易に服用すべきでない。

気分が落ち込むという主訴で初めは病院に行き、大学をやめて暴力事件を起こしてから、重症の統合失調症扱いにされているが、本人のコミュニケーション能力そのものが著しく低下していて医師とまともなやり取りができなかった、家で激しく暴れていて家族が面倒を見きれないような状態だったなどの理由があるのかもしれない。

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夏休み中の少女の夜遊びの誘惑と危険、 常磐道上り線の車線変更ミスからの事故で20代男性3人が死亡

○19歳までは夜の街が危険で、20歳になれば急に犯罪に巻き込まれなくなるわけでもないが、水商売は別として一般女性でも『夜に出歩くか否か』は個人差が大きい。
「20歳だから…」と嘘つく少女も ガールズバーで客引き、夏休みの大阪・ミナミで一斉補導 大阪府警

夜勤もある看護師・介護士などは、夜更かしのカラオケや飲み会とか好きな人も多かったが、早寝早起きのリズムでないと仕事ができない人や家庭がある人はやはり夜は外にでない傾向がある。学生時代のバイトでも終わった後に女の子とファミレスとかカラオケとかで朝までおしゃべりして過ごしたりとかも楽しい思い出にはなる。

未成年者ではない大人でも『夜に外に出るのは危ない・余り良くない行為である』といった教育方針や価値観の人は一般に多数派であり、特に女性は男性よりも犯罪に巻き込まれるリスクは高い。夜中のウォーキングやランニングもする人と絶対にしない人は分かれるが、真夜中までいくと住宅街を歩けば警察から職務質問されやすい。

『夜遊びは非行の始まり』といった標語は、ネット社会になってからは物理的に夜に出歩く非行少年が激減してあまり意味を持たなくなったとも言われるが、学校・家庭からドロップアウトした未成年者は風俗業で稼ごうとする大人の罠にひっかかりやすい。家庭教育・意識転換がなければ同じ行動の繰り返しになりやすいが。

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AV強要問題がなぜ最近になって注目を集め始めたのか?:表と裏の社会のグレーな棲み分け(境界線)がなくなりつつある変化

事後的な後悔・不満も含むと、性ビジネスにおける完全な合意は厳密には難しく、今まで『風俗・AV=法律を敢えて緩く適用する裏稼業』としてきた反動もある。

AV強要、SODが考える対策「業界も脇が甘かった」「女優さんを応援したい。今をチャンスに」

風俗・個人の売春はまだ不特定多数に顔を知られる映像記録が残らないので、AVほど事後に『実は強制された』の揉め事や訴訟は起こりにくいが、AV含む性ビジネスは歴史的に見れば従軍慰安婦問題ではないが『甘言・だまし・ノリ・半強制の世界』でやってきた裏稼業の負い目もあり、公開の場で法律・常識にのっとった正論で検証されると弱い。

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『見た目問題』の苦悩を緩和する自分なりの世界観・人間観の形成:他者の評価に振り回されすぎずに。

現代は見た目で露骨な差別・排除をしない倫理観を多くが持ち心ない言葉をぶつける人は少ないが、見た目問題は他者との距離にこだわれば深刻化する。

「見た目問題」息子も当事者…記者として、親として「心ない言葉」への葛藤 それでも「まず知ってもらう」

容貌が大きく変わってしまう先天性・遺伝性の疾患・奇形(本人ではどうしようもない見た目の特徴)について知ってもらい、差別や偏見を無くしていく啓蒙はできるし進めるべきだが、『他者が自分とどのような距離や関係を選択するか』にこだわれば、見た目に大きな変形がない人もある種のコンプレックスを形成しやすい。

結局、他者がどう反応し評価するかにこだわれば、見た目問題の深刻さの程度によっても変わるが、『見た目・美のヒエラルキーの複合感情』に絡め取られる危険性が誰にでも(よほど見た目に自信がある人は別だが)ある。『見た目で差別・侮辱しない』は可能な目標だが、『見た目・私生活で人の好き嫌いがない』は至難だ。

見た目とか容貌とかいうのは骨・皮・凹凸が織り成す『表層的な知覚印象』に過ぎないのだが、人間は本能的に『顔認知(顔の個人識別)』を特別に重視して早くに発達させることが乳幼児期の心理実験からも明らかで、顔(見た目)などどうでもいいという倫理はあっても、本音での分別・欲求・関心がゼロにまではなりにくい。

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杉並区住宅で女性遺体が床下から見つかったリフォーム業者の殺人事件から考えたこと:悪意(キレる)と保身のエスカレート

リフォーム営業に来た段階ではなく、見積もりして契約を終えた段階の犯行のような報じ方だが、ドア修理に失敗し被害者に『あなた何もできないのね』の罵声を浴びせられたというが、殺人は短気過ぎる…。

<杉並女性遺体>「床下に運び刺した」容疑者、玄関で殴打

ただ『無能・役立たず』と罵倒されただけでなく『ドアストッパーも直せない業者とは契約解除する』と申し出られた可能性もある。自分の仕事が上手くいっておらず久しぶりに取れた仕事で『収入が入るから罵声くらい我慢しよう』の態度でいたら、『契約解除+人格否定』で元から情緒不安定だった男がキレたのかもしれない。

姑息な保身は、殺してしまうまで加害がエスカレートする犯罪心理につながる恐れがある。常識的に考えれば、短気な性格や情緒不安定でカッと来て一発か二発殴りつけたとしても、そこでやめて謝罪するか逃走するかすれば最悪の殺人・傷害致死は避けられる。だが『絶対に捕まりたくない保身』でより重犯罪になる人がでる。

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