恋愛と結婚の違いについて。

『反復的な衣食住の生活・協働的な関係』に興味を持っているかどうか、『何気ない生活場面・メンバーが固定された関係性』を楽しめるか否かの違いによって、結婚生活の評価も大きく変わる。

既婚者が語る恋愛と結婚の違い9パターン

『生活そのものへの興味関心』が薄い人(衣食住・家事などは二の次で構わないというような人)だったり、『毎日顔を合わすような生活』への憧れが弱い人(恋愛で月・週に数回会うことさえ面倒に感じてしまう人)だったりすると、結婚生活への適応力は一般に低くなるが、『相手に干渉する度合い(自分と相手にとって心地よい干渉レベル)』のバランスも重要になる。

あまりうるさく構われたくない人(基本的に自分のことは自分でやる人)もいれば、もっと構って欲しい(あれこれ世話を焼いて欲しい)という人もいるわけだが、そのバランスが大きく崩れると一緒に共同生活を送ることが極めて困難になってくる。

昔の亭主関白のように『風呂・飯・寝る』の人は今では滅多にいないだろうが、自分だけが働いて給料を全て家に入れる立場だったりすると、それに慢心して自分が扶養しているのだから何でもかんでも優しくしてくれて当たり前のように思い、『平均的な家事育児・会話内容』に満足できないような人も出てくる。反対に、夫婦共働きだと『自分と相手との家事育児の負担』について、専業主婦(主夫)の人よりもセンシティブな不満感・不公平感を抱きやすくなるという問題もあり、『家にお金を入れている度合い+それに見合う自分への家族の感謝や優しい対応』にこだわることで、逆に結婚生活が破綻することもある。

中長期的にはどちらかが『以前と同じテンション・相手への好意や協力』を維持できなくなってくれば、夫婦関係も悪化していきやすいが、『それぞれの人生・活動・趣味・関係』を尊重する(いつもべったり一緒にいなくても良い・相互の自由時間を確保するために気を遣う)という適度な距離感が開いていくことで安定することもある。

『恋愛の非日常性・特別性』と『結婚の日常性・一般性』の比較は良く行われる。恋愛というのは『別離の可能性(今の相手から離れたり他の相手が出現する可能性)』に常に開かれているため、『相手に好かれようとする行動・自分の良い部分(しっかりした部分)だけを見せる頻度』が多くなりやすいという特徴はあるが、『日常生活における各種コストの負担』はしなくても良い点が結婚とは異なる。

結婚というのは別れるにしても『離婚のコスト』が大きくなったり『子供への影響の懸念』が生まれたりするので、恋愛と比較すれば結婚のほうが拘束力・法的義務が当然に強まるし、恋愛では殆ど問題にならない『慰謝料・養育費などお金』の問題も出てくることもある。

結婚は『別離の可能性』が恋愛よりかは低く普段から一緒にいる時間が長くなるため、いつも恰好つけてばかりいるわけにもいかず、『相手に不満や愚痴(甘え)を言う行動・自分の悪い部分(だらけた部分)を見せる頻度』も多くなりやすく、そこを何とか是正しようとして対立的・指導的になると余計に泥沼に陥ることもある。

そのことが『結婚前のイメージとの落差・結婚時にした約束の違反』などによるマイナス評価につながることもあるが、そういったマイナスの要素や弱くてだらしない部分が見え続けてもずっと好きでいられるという人はそう多くはない。

反対に、ずっと初めと変わらず『力強くて不満を言わず頼れる人間・魅力的で嫌な面があっても許せる人間』でい続けられるタフで魅力的な男性・女性も多くない。そういったずっと変わらない魅力的でタフな人間(プラスの影響と安心感だけを与え続けられる能力・耐性のある人)であることを求める人も少なからずいるが、『理想像(初期イメージとの落差)へのこだわり』は相手への幻滅を早めるだけでもある。

何か特別な活動や刺激的な関係、観念的な思索(世界理解)を求めているだけであれば恋愛でも良いが、好き嫌いだけでは生きていけず自分も年を取っていくという現実もあり『生活・子供・人生設計』などを心配する人は多い。永遠の若さ(魅力)や健康、出産可能性、無限の稼得能力がないという『有限(自己限界)の感覚・孤独(孤立無援)の不安』と『人生の物語性(ライフイベントによる区切り・他者と同じような人生パターンを求める感性)』が、結婚や家族のモチベーションを形成するとも言える。

そのため、いつかは『生活面や育児面の相互扶助・負担分割の裏書き(法的根拠とそれを履行する意思)』のある結婚をしたいという人も出てくるのは道理ではある。

一方で、恋愛が『観念(精神性)・抽象(何を考えて何を面白く話すか,それで精神的にハイになれるか)』であるとすれば、結婚とは『生活(物質性)・具象(何をして具体的に何を得られるか,それで生活できるか)』であるため、当たり前の毎日の生活・家庭を楽しめる感受性とその生活・家庭の維持のためにコツコツと努力を続けようとする価値観(生活・家族の外部にある観念的な魅力やロマンスの誘惑、放蕩に抗う覚悟)がなければ結婚は長続きしない。