映画『謎解きはディナーのあとで』の感想

総合評価 76点/100点

世界屈指の宝生財閥の令嬢で国立署の刑事も務める宝生麗子(北川景子)と麗子の執事をしている影山(櫻井翔)がコンビを組んで事件を解決するコミカルミステリー『謎解きはディナーのあとで』の映画版。

わがままだがどこか抜けているツンデレキャラの宝生麗子とクールな頭脳で事件を解決してしまうS(サディスティック)キャラの影山のやり取りを楽しみながら気軽に見られる作品。自動車会社の御曹司で刑事部長をしている風祭京一郎(椎名桔平)も、毎回見当はずれの推理を展開したり、誰でも口説こうとする女好きのキャラが健在である。

久々のバカンスを取って、シンガポール行きの豪華客船プリンセスレイコ号に乗り込んだ麗子と影山。麗子は昔から良く知っている船長(鹿賀丈史)や支配人(中村雅俊)との再会を喜び、船内で歌手の仕事をしている支配人の娘(桜庭ななみ)やその彼氏(要潤)とも知り合いになる。お騒がせな風祭警部も、シンガポール政府に寄贈するためのアート作品『Kライオン』を警備する仕事で、プリンセスレイコ号に乗っている。

エステにネイルにグルメに買い物、シンガポール滞在とバカンスを楽しもうとしていた麗子だったが、船内でレイモンド・ヨーという世界有数の投資家が胸を打たれて殺害され、船内の捜査に駆り出されることになる。レイモンド・ヨーはなぜか救助されやすいように救命胴衣をつけた形で海に投げ捨てられていたが、その後に伝説的な怪盗ファントム・ソロスを名乗る犯人からの声明文が断続的に届けられるようになる。

支配人が飲み物に強心剤を盛られて軽い心臓発作を起こした後には、支配人の娘の彼氏が全裸で土下座するような奇妙な恰好をして部屋で殺害されていた。遂にファントム・ソロスの脅迫は、宝生麗子にまで及び誘拐されて爆発物と共に監禁されてしまう。

ソロスが執事の影山に要求してきたのは『現金100万ドル』だったが、原則現金の持ち込みが不要な船内ですぐに用意することができない。影山は大金を持ってギャンブルのために乗り込んできている同族企業のボンボン(生瀬勝久)とポーカーで勝負するが、掛金が無くなってきたピンチを、世間ズレしたギャンブル好きの女性(宮沢りえ)に助けてもらう。

ファントム・ソロスの罠にかかった麗子と影山は、豪華客船から切り離されたボートで無人島に漂着することになるが、なぜかサバイバル検定1級を持っているという影山の働きに助けられる。野外生活でも意外に頼りになる影山を見て、二人きりの無人島でロマンチックな気分に浮かれかけていた麗子は、『ここだけの話があるのですが』という影山の言葉に妄想を膨らませるが、いつまでこんな島でのんびりしてるつもりなのか、お嬢様はやはり間抜けなのかといった影山の毒舌な人格批判を再び受けてお決まりの言い合いパターンになっていく。

風祭警部が警備する『Kライオン』と宝生財閥が娘の船旅のお守りとして保有する『セイレーンの涙』を盗み出す機会を伺って蠢く盗人たち、伝説の怪盗ファントム・ソロスは本当に存在するのか(誰がソロスを名乗っているのか)の謎解きを通して、二人を殺さざるを得なかった『殺人の真相・理由』と『隠された歴史に潜む因果・因縁』が明らかになっていく。