“団塊世代・しらけ世代・氷河期世代(ロスジェネ)・ゆとり世代・さとり世代”…日本では世代論が好んで語られるが。

世代論は『経済状況・時代背景・集団同調の強度(個人の自由度)』に大きく影響されるものだと思うが、1990年代以後の流れでは『人生・活動・関心の個人化(島宇宙化)の進展』と『中流化によるハングリー精神の低下(その後の中流崩壊の弱気)』といった特徴を指摘できるのではないだろうか。

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ゆとり世代は、先行世代の『高度経済成長期(モノの豊かさのために全力疾走した次期)の反動』がもたらしたものであり、受験競争や企業戦士、皆勤主義といった“ゆとりの無さ”を抜け出した先にある先進国的な豊かさへの願望も影響したのではないかと感じる。

ゆとり世代はその後に批判的というか蔑視的な不当な扱いもされるが、それは企業と家計の余裕の喪失もあるし、ゆとり世代だからといってみんなが能力・意欲が低いというような偏見は客観的事実と合致したものではない。

さとり世代は、『経済の低成長期・格差社会の進展期』におけるマイペースな生き方や諦観が影響した世代に見えるが、若者の能力・発想・意欲の個人差は大きいので『悟り=人生全般に対する諦め・無欲化・無気力』というのも決めつけに過ぎないだろう。

若い世代の価値観も『自由主義・国家主義・国際志向・ビジネス志向・私生活志向』など千差万別に分かれてきているので、さとり世代といっても『少欲知足の悟り』だけではない『職業・起業の突き抜け感』や『専門分野における高い才覚・技能』を持った人も相当に多くなっていると感じる。語学やコンピューター(IT)などの分野では、年配の世代よりも優秀な人材の比率は高いし、内向き志向と言われながらも積極的に海外の大学・企業を目指している人もいる。

30代以下の世代では価値観や生き方について『他者との差異を容認する態度』が土台にある意味での共通性はあるかもしれない。バブル世代の40代はともかく『人としてこうあるべきという標準的な範型』の影響力が強い50~60代以上とゆとり・さとり世代の相性は良くない印象もあるが、全世代的に相手の内面やプライベートにまで深く干渉はしないという意味での『他者との距離』が開いたのではないだろうか。